平成16年11月19日
 
フロッピーディスク所在不明事案への対応策等について
 

.はじめに
 去る10月18日に公表いたしました「疑わしい取引の届出」に係るフロッピーディスクの所在不明事案については、金融機関の監督を行う立場の当庁として極めて遺憾であり、重ねて深くお詫び申し上げます。
 先月の公表後も引き続き所在不明となったフロッピーディスクの探索を続けておりますが、今日現在未だ発見には至っておりません。
 当庁では、本事案に係る事実関係の究明のため、10月14日より庁内の専担監察官による関係者のヒアリングを行うとともに、10月21日には当庁コンプライアンス対応室(室長:野村修也中央大学法科大学院教授、当庁顧問)に依頼し、客観的な立場から当庁の内部管理体制の面における原因究明と再発防止策の策定について調査及び提言を要請していたところです。
 今般、監察官のヒアリング結果及びコンプライアンス対応室の調査結果・提言がまとめられたことを受け、当庁として以下のとおり再発防止策及び関係者の処分を実施することといたしました。今後、早急に以下に掲げる各種施策を実施することにより、個人情報を含んだ書類・フロッピーディスク等の紛失が2度と発生しないよう最善を尽くしてまいりたいと考えております。



.再発防止策の概要
 監察官のヒアリング結果及びコンプライアンス対応室の調査結果・提言においては、今回の事案が発生した主たる要因として、

 

 ○

 郵便物の収受体制が不十分であったこと、

 ○

 特定金融情報室の「疑わしい取引の届出」の処理能力にも問題があり、届出件数が急増する状況に適切に対処できていなかったこと、

 ○

「疑わしい取引の届出」に代表される個人情報を含む文書等の取扱いについての全庁的な意識が低かったこと、の3点が掲げられています。


 これらの問題点にそれぞれ対応し徹底した再発防止を図るため、当庁としては、今般、以下の再発防止策をとりまとめ、直ちに実施することといたしました。


 ○


 郵便物等の文書等接受体制の整備

 

(1)

 文書等接受担当部署(総務課・特定金融情報室)の体制を強化し、作業環境を改善する。

(2)

 特定金融情報室など、接受する文書等が多い部署については、当該部署において郵便物等を直接接受する体制とする。

(3)

 文書等の確実な受け渡しに対する職員の意識を向上し、取扱いルールを周知・徹底するために、文書取扱規則を改正し、紛失事故等の問題が発生した際の連絡・報告・捜索体制を整備するとともに、責任者を明確化し、職員に周知・徹底する。


 ○


 特定金融情報室の届出受付・処理能力向上策等

 

(1)

 電子申請・届出システムによる「疑わしい取引の届出」の受付を、準備が整い次第、順次開始する。

(2)

 (1)の措置を開始した後も、なお当面の間、郵便物等により提出される「疑わしい取引の届出」については、受付確認の徹底とともに受領確認書を全ての届出金融機関に対して交付するものとする。

(3)

 特定金融情報室において郵便物等の接受担当者とは別に管理担当者を指名する等、複層的なチェック体制を設ける。


 ○


 個人情報を含む文書等の取扱いに関する職員意識の向上等

 

(1)

 17年4月に「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」が施行されることを受け、「金融庁総点検プロジェクト」の一環として金融庁全体の危機管理を総点検し、「個人情報管理規程」の策定など必要な措置を講じる。

(2)

 個人情報を含む文書等の取扱いに関する職員の意識を向上させるために、個人情報の管理責任者に対して研修を徹底するとともに、一般職員に対しても研修・啓発を行い、個人情報の管理態勢に万全を期す。


 ○


 その他
 庁内各部署の勤務態勢を総点検するとともに、転入者に対する研修を充実させること等により庁内の人的ネットワークの確立に努める。



.関係者の処分
 監察官及びコンプライアンス対応室の調査結果を踏まえ、○金融機関より届出があった機密性の高い個人情報を含むフロッピーディスクを紛失した文書接受上の管理責任、○フロッピーディスクを紛失した後の幹部への報告が約2ヶ月遅れたことに係る管理責任について、関係者に対し以下のとおり処分を行いました。

 


(1)


 総務企画局の主任文書管理者(総務企画局総務課長)を「訓告」、総括文書管理者(総務企画局長)を「文書厳重注意」

 


(注


)総括文書管理者及び主任文書管理者は、金融庁行政文書管理規則(金融庁訓令第2号)によるもの


(2)


 特定金融情報室長を「訓告」、特定金融情報管理官(担当参事官)を「文書厳重注意」