平成17年3月3日
 

フロッピーディスク紛失事案の再発への対応策について

 

.はじめに
 去る2月3日に公表いたしました、オフサイトモニタリング報告に関する金融機関データを含むフロッピ−ディスクの所在不明事案については、金融機関の監督を行う立場の当庁として極めて遺憾であり、重ねて深くお詫び申し上げます。
 当庁では、本事案に係る事実関係の究明のため、当庁コンプライアンス対応室(室長:野村修也中央大学法科大学院教授、当庁顧問)に依頼し、客観的な立場から当庁の内部管理体制の面における原因究明と再発防止策の策定について調査・提言を要請していたところです。
 今般、コンプライアンス対応室の調査結果・提言がとりまとめられ、その中で、昨年11月に、特定金融情報室のフロッピーディスクの所在不明事案に対応して再発防止策を講じたにもかかわらず、再度類似の事案が発生したのは、当該再発防止策が全庁に徹底されていなかったためではないか等の指摘を受けました。
 当庁としては、この指摘を真摯に受け止め、4月1日の「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」の施行を控えて、書類・フロッピーディスクの紛失等が再度発生することのないよう、コンプライアンス対応室の提言をもとに、○全庁一斉点検の実施、○複層的な再発防止体制の構築、○外部からの情報・苦情等の受付窓口の強化、を行うとともに、関係者の厳正な処分を行うことといたしました。



.全庁一斉点検の実施

 

(1)

 今回のオフサイトモニタリング報告に係るフロッピーディスクの所在不明事案の発生を受け、直ちに全庁のフロッピーディスクを含む行政文書等の管理体制をチェックしたところ、残念ながら管理・運用に甘さがあるケースが見受けられました。こうした事例については、直ちに改善策を講じるとともに、改めて担当者に対し、文書取扱規則等のルールの周知・徹底を図りました。


(2)


 さらに今後は、定期的に各課室において文書等の管理体制につき自主点検を行うこととし、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」が施行される4月までの間に、第1回目の自主点検を実施いたします。



.複層的な再発防止体制の構築

 

(1)

 預金取扱金融機関に係るオフサイトモニタリング報告については、可及的速やかにフロッピーディスクによる受付を廃止し、全面的なオンライン化を進めることといたします。
 当分の間、オンラインによる報告が困難なものについては、フロッピーディスクによる提出も受け付けますが、この場合には、原則として担当課室において直接収受し、直ちにデータ登録を行い、持参者に返却することといたします。
 また、フロッピーディスク等の管理体制の整備・厳格化を図るため、以下の措置を講じることといたします。

 

 ○

 フロッピーディスク等が一般の書類と紛れる事態等を防止するため、関係部署において、フロッピーディスク等のデータ登録、保管等を専門に行うスペース(「FD処理室」)を一般事務を行うスペースから分離して設置する。

 ○

 責任の明確化を図るため、フロッピーディスク等の管理を行う者(「FD管理責任者」)を指定し、フロッピーディスク等の収受・登録・保管については、原則としてFD管理責任者のみが行うものとする。

 ○

 複層的なチェックを行うため、文書管理者(各課室長)にフロッピーディスク等の管理状況の定期的な確認等を義務付ける。


 さらに、金融機関等からの報告に係る期限管理を徹底し、期限を過ぎても提出されていない報告については、速やかに金融機関等に督促することとし、金融機関等の報告体制等に問題がある場合には改善を促す等、必要な措置を講じることといたします。


(2)


 庁内の文書等管理体制全般について、2(2)に掲げる自主点検の結果を踏まえ、事故防止の観点から必要に応じて改善策を講じるとともに、これらの措置の徹底状況及び文書等の管理体制全般について内部監査チームが定期的に又は随時に監査することといたします。
 特に、特定金融情報室に提出される「疑わしい取引の届出」やオフサイトモニタリング報告を含め、報告の内容・件数に照らして情報管理を徹底すべき報告については、特に保護を要する情報ファイルとして区分管理し、当該ファイルのそれぞれにつき、庁内各課室の実情に応じた取扱マニュアルを整備し、受付・管理の工程を厳格化するとともに、担当者及び管理責任者への徹底した研修・教育を行うことといたします。
 また、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」の施行に向けた関係庁内規則の整備、管理体制の構築を急ぎ、関係法令や庁内規則について徹底的な研修を行う等、職員に周知・徹底してまいります。


(3)


 庁内の文書等管理体制全般について、コンプライアンス対応室が定期的に調査し、問題があった場合等には対応策を提案することといたします。



.外部からの情報・苦情受付窓口の強化
 金融庁では、これまで「ご意見箱」において国民各位からの提言等を受け付けてきたところですが、新たに金融庁の行政文書の管理等について外部から情報や苦情を受け付けるための専用の窓口をコンプライアンス対応室に設け、情報漏洩等の早期発見・早期是正が可能な体制を構築することといたします。
 また、平成17年度に新設される予定の「金融サービス利用者相談室」においても、行政文書の管理等に関する情報・苦情等を受け付けた場合には、速やかにコンプライアンス対応室に回付し、適切な措置をとれる体制といたします。



.関係者の処分
 監察官及びコンプライアンス対応室の調査結果を踏まえ、昨年11月に再発防止策を徹底したにもかかわらず、時間的に近接して金融機関より受け付けたフロッピーディスクを紛失したことに係る文書管理・業務上の管理監督責任について、関係者に対し以下のとおり処分を行いました。

 

(1)

 監督局銀行第一課の文書管理者である銀行第一課長を「訓告」、
 監督局の主任文書管理者である監督局総務課長を「文書厳重注意」

 

(注

)文書管理者及び主任文書管理者は、金融庁行政文書管理規則(金融庁訓令第2号)によるもの


(2)


 監督局長を「口頭厳重注意」